広島大学 大学院先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻

研究内容


2012年度 研究テーマ

薄膜トランジスタ(TFT)研究領域

タイトル:高性能薄膜トランジスタ作製を目指した低温プロセス技術の開発
チームメンバー:D2林、D1森崎、M2中元、M2藤田、M2山根、M1上倉、M1田中、M1 藤本、B4山本

 スマートフォンや液晶テレビ等の高性能・高機能化のためには、画素駆動に用いられる薄膜トランジスタ(TFT)の性能向上が不可欠です。本テーマでは、新しいTFT作製技術として、独自に熱プラズマジェット(TPJ)を用いた熱処理技術を開発し、高性能TFT作製に向けた研究を行っています。TPJを用いて半導体薄膜結晶化、不純物活性化、絶縁膜高品質化を試み、TPJ熱処理技術を応用した高性能TFTの作製を目指します。

 

タイトル:薄膜転写法を用いた高性能薄膜デバイス作製技術の開発
チームメンバー:D2酒池、M2小林、M1中村、B4櫻井、B4福永

 近年、電子ペーパーに代表されるフレキシブルディスプレイなど次世代エレクトロニクスの代表と考えられてきたフレキシブル製品が様々な技術革新により実現され始めています。より高機能なフレキシブルディスプレイを実現する為には、ディスプレイを構成している薄膜トランジスタ(TFT)の高性能化が大きな課題の一つとして挙げられます。現在、TFTの性能向上を実現する為に、様々な半導体材料選定や新しい技術開発が盛んに行われています。私達はこの課題への新しいアプローチとして、中空構造シリコン(Si)薄膜を用いた転写技術を独自開発し、この技術を用いてフレキシブル基板上に高性能Si TFTを実現する新技術の開発を行っています。

 

 

光電変換デバイス(太陽電池)研究領域

タイトル:大気圧熱プラズマジェット照射による低温堆積パッシベーション膜の高品質化及び太陽電池応用
チームメンバー: M2小柳, M1水野, B4 山中, B4 呂

 近年、地球環境を改善する対策として再生可能エネルギーの1つである太陽光発電技術の向上が挙げられます。太陽電池の更なる普及のために、より高効率かつ低コストで作製することが課題となっています。この課題を解決するために私たちは太陽電池の一部で、光を効率よく吸収させる保護膜の役割をするパッシベーション膜に着目しています。パッシベーション膜の品質で太陽電池の性能が大きく左右されます。独自開発した熱プラズマジェットを用いて膜を急速熱処理することで、膜内の化学結合状態を改善させ、高品質な膜を形成させます。この技術を応用し、高性能太陽電池の作製を目指しています。

タイトル:太陽電池に向けたパウダーを用いた高結晶シリコン薄膜形成技術の開発
チームメンバー:D1赤澤、M2周

 現在、広く普及されている結晶シリコン(Si)太陽電池の元基板は結晶Siの塊を切断することで作製されています。しかし、実際に必要な発電層の厚さは作製した厚さの10分の1以下で良いとされているため、低い材料利用効率が問題です。そこで、気体搬送中のSiパウダーを半導体レーザ等の熱源により溶融後、ガラス等の安価な低耐熱基板上へ多数のパウダーを付着・固化させることで高結晶Si薄膜を形成する技術開発を行っています。この技術は必要量のパウダーを付着させることで低コスト・省資源化を図ります。また、微小なSi融液が基板上で短時間固化するため基板に熱ダメージを与えずに形成します。本研究では、高結晶Si薄膜形成技術の開発、実観察やシミュレーションにより結晶化メカニズムを解明することで従来技術より薄く高品質なシリコン膜の作製を目指します。

次世代半導体デバイス研究領域

チームメンバー名:D3 Wei Guobin、M1 小野、M1橋本、B4 Ji Sangmin

タイトル:高移動度チャネルを有するMOSデバイス開発

MOS(Metal-Oxide-Semiconductor:金属-酸化物-半導体)デバイスは、LSIの性能を決定する最も重要な素子の一つです。現在は、その半導体材料としてシリコンが使われており、素子寸法を縮小することで、高密度化のみならず高速化を図っています。しかし近年、素子寸法縮小の限界が見え始め、素子構造によらない高速化の方法として、高移動度チャネルや高誘電率ゲート絶縁膜など新材料の導入が注目されています。われわれは、この実現のために、表面処理、薄膜形成技術など最も基本となる技術の確立を目指します。

タイトル:抵抗変化型メモリの開発

スイッチング素子であるMOSデバイスと同様に、記憶素子も素子寸法縮小の限界が見え始めています。そこで、新たな取組みの一つとして、高集積、高速動作可能な不揮発性(電源を切っても消えない)メモリがあります。そのなかで、抵抗変化型メモリは素子構造が単純で高集積化が容易であることから有力な候補と考えられます。われわれは、その動作メカニズムを解明し、より高性能な素子を開発することで、DRAMやフラッシュメモリにとってかわるような抵抗変化型メモリの実現をめざします。

タイトル:シリコンカーバイド(SiC)デバイス向けの高温アニール技術開発
チームメンバー:M2 芦原、B4 丸山

 OnとOffを高速で繰り返すことで電力を変換する半導体パワーデバイスは送配電や鉄道、自動車、エアコンなど広い産業分野で活躍しています。基板材料に炭化ケイ素 (SiC)を用いたデバイスは従来技術と比べ、小型で高パワー密度、かつ70%以上の高効率化が可能です。しかし、その作製工程は1000℃~1700℃程度の高温処理が必要です。SiC部門では我々が独自に開発した大気圧熱プラズマジェットによるSiCの短時間高温熱処理に関する研究を基軸にグリーンエネルギーに貢献する作製プロセスとデバイスの開発を目指しています。